補語が方位語となるbe の動詞フレーズ

【解説】

● 補語が方位副詞と前置詞+名詞のもの


英語の発想には、即物的傾向があり、英語は常によく物事を観察し、その原理を研究して、自分のために役立てることを考える人たちの言葉と言える。
例えば、私たちは「雨が降る」とか「雪が降る」と表現するが、彼らはIt rains.とかIt snows.といったように、It(何かが)「降らせる」と表現する。

人間もあるいは物も、空間(space)の中に一定の位置を占め、絶えず相互に作用しあって、状態を変えたり、変えられたり、動いたり、動かされたりする。空間の中での変化の動きには、方向(directions)がある。
少なくとも、位置や方向をの観念を抜きにしては、物の動きを明確にとらえることができないし、ましてやそれを言葉で人にわかりやすく伝えることはできない。この動きをするのがdirection words(方位語)なのだ。

日本の文法では、このdirection wordsを前置詞や方位副詞などと命名されているが、実は前置詞の訳語はprepositionであり、これは「前もって」=pre、「位置」=positionを表すという意味を持っている。明治時代には、この前置詞を「所位語」と訳されていたが、この方がprepositionには適していると思う。

このdirection wordsだが、これが基礎的な動詞と組み合わせることによって様々な表現を可能にするのが英語の発想だ。
この組み合わせが、文脈依存やひゆ的転用(メタフォー)によって様々な意味を表すことになる。

例えば、次の文例ではまったく同じ動詞と前置詞が使われているが、意味はまったく異なる。

I can't go with you.
あなたと一緒には行けません

This tie doesn't
go with this white suit.
このネクタイはこの白いスーツに合いません

さてここでは、be動詞と様々な前置詞や方位副詞との組み合わせが登場するが、まず前置詞と方位副詞との区別を確認しておきたい。
前置詞は名詞を伴い、方位副詞は単独で使われる。

方位副詞の例
  away, back, down, up, off, on, out, over, up, etc.

前置詞の例
  against, at, in, into, from, of, to, with, without, etc.

その意味で、againstやatやintoは常に名詞を伴うので前置詞の代表であり、逆にoutは名詞を伴わないので方位副詞の代表と言える。

I am against your opinion.
私はあなたの意見に反対だ

Father is
out.
お父さんは留守です

しかしながら、たいていのdirection wordsは、単独で用いられたり、名詞を伴うことがある。したがって使い方によって前置詞となったり、方位副詞となったりすることになる。

Influenza was about.      この場合のaboutは方位副詞
流感が流行っていた

A,B, C,D,E, and F are
about G.  この場合のaboutは前置詞
A,B, C,D,E, FはGのまわりにある

私が、方位副詞と前置詞を含めてdirection words(方位語)と称しているのは、文法的なことは別にして英語の発想をとらえるためであることは言うまでもない。

be動詞は「存在」を表し、その存在を位置・空間的に規定するのがこれらの動詞フレーズの特色だ。

(be動詞+方位副詞)
She is
down.
彼女は滅入っています

(be動詞+前置詞+名詞)
She is
in trouble.
彼女は困っています

●メタフォーということ

英語はとても、分析的な言語だ。彼らは位置や空間でものごとを把握する。この場合に最もよく使われるのが方位副詞や前置詞である。
次の文をごらんください。

She is down.

この文をこれだけの情報では日本語に訳すことはできない。downは位置的に「下方」を意味するので、具体的には「彼女は2階から降りてきた」「彼女は倒れた」などそのままの位置的な状況述べる場合もあり、一方では「彼女の成績が下がった」「彼女は元気がない」などと抽象的な意味にも拡大することもある。
このように位置や空間での位置を心理的な状況まで高めて表現をメタフォー(比喩)と言う。
他の例を見てください。これは前置詞+名詞となった例だ。

The train is in the station.
列車は駅に入っています

The train is
in motion.
列車は動いています

「列車は駅に入っている」は列車が具体的な駅という「空間=範囲内」に存在するというのは、いわば「そのまんま」の表現だ。
一方、be in motionとなると、列車が「motion=動き」という「空間=範囲内」に存在するとなり、この場合は「動いている」などの意味だ。
「動いている」という範囲に存在する、というのはある意味でフィクション=作り話だ。これがメタフォーなのだ。

補語が方位語となる場合の日本語訳

補語が方位副詞と前置詞+名詞のbe動詞のフレーズで特筆すべきは、日本語訳が過去形になったり、進行形のようになる。
例えば過去形のような意味となる場合について説明すると、英語の発想には「物事を結果でとらえる叙述が頻繁に使われる。

例えば、「太陽が沈んだ」を英語にすると、日本人の場合は次のような英文を思い浮かべることが多い。

The sun sank.
The sun has
gone down.

もちろん、この英文は正解だが、この場合次のように表現するのが英語人にはぴたりとする。

The sun is down.

このようなことは、away,down, off, out, upなどの補語が方位副詞の場合によく起き、逆に言えば、彼らはこんな簡単なことばで簡潔に話している。

My weight is down.
体重が減った

また、日本語訳が「進行形のようになる」場合だが、日本語人がこのような日本語を英作する場合、すぐに進行形にしなければならないと考えてしまうが、彼らは簡単に次のような表現をする。

She is in trouble.
彼女、困っています

She is
at table.
彼女、食事をしています

以下、それぞれの項目で、be動詞と様々な方位副詞や前置詞+名詞の組み合わせを学習していくが、それぞれについては個別に説明していきたい。