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A5判 377ページ
(二色刷)
PDF版

中嶋太一郎著
1,600円(税込)

はじめに

 英語脳の構築といっても、あなたの頭に別の脳を構築させるというものではない。いわんや左脳とか右脳のどちらを使うということでもない。
ちょっと考えたらわかることだが、私たちと同じ英語を母国語としない人たちは私たちよりもはるかに自由に英語を会話の道具として使っている。これは彼らの脳に英語脳という別の脳が入り込んだからなのだろうか。
私が言う英語脳とは、英語のしくみ、あるいは回路を身につけるということである。英語のしくみはあまりにシンプルで合理的なもの、あるいは機械的と言ってもいい。英語の回路に従えばどんな人も簡単に英語は話せるのだ。英語が国際語(International languge)となっているのは、英米の政治力や経済力の強力さではなく、実はそのことにある。
この本にとりあげられている英語脳構築のトレーニングに注目していただきたい。ここには英文が先にあって、日本語訳は後になっている。これは英語のしくみ、回路に従えばある意味で自動的に英文は生産できることを示している。
今まで日本語がまずあってそれを文法の助けを得て英文を作り出すものが多かった。しかしそれでは日本語の発想が邪魔になって英語自体をさらにむずかしくさせるものでしかない。
したがってこの本には現在形、現在進行形といった文法用語は使っているが、それがSVOの文型だとか、現在進行形はbe動詞(am,are,is)+現在分詞だといった文法的な説明はまったくない。ネイティブスピーカーも知らない文法知識を得ることと、英語をことばとして身につけることはまったく別物なのだ。
英語は英語の発想で取り組むのが当然のことだ。ネイティブはもちろんのこと私たちと同じ英語を母国語としない人たちも「行為や状態をひとまとまりのもの」としてとらえ、それを英語の回路を使って場面や状況に応じて表現しようとしている。私たちもそれを学ぶべきなのだ。この英語脳構築プログラムはそれを目指したものに他ならない。

プロローグ
英語脳をどう構築するか?

[1]脳のしくみ
人間の脳には「記憶の束」があり、ある刺激に対してシナプスという神経がその取り持ちをするという。その内言語脳は,発音や文法を理解する働きする部分であると言われている。思考は言語と密接な関わりを持って行なわれ、物事を認識するときには言語に置き換えて開始することになる。
私たちは、暇そうな人を見て「あなた、暇なの?」と聞いたり、気分の悪そうな人を見て「あなた、頭が痛いの?」などと聞き、一方英語のネイティブスピーカーはAre you free?とかDo you have a headache?などと聞く。つまりシナプスが刺激に反応して「記憶の束」にある言語脳に蓄積されてきたそれぞれの言語を取り持ったことになる。

●日本人の英語脳?
私たちが、「あなた、暇なの?」といった英文を生産する場合を考えてみよう。この場合、「あなたは暇ですか?」ととらえ直して、「あなた」はyou、「暇な」はfree、「です」はareと考え、文法に従ってbe動詞areを文頭においてAre you free?といった英文を生産する。
一方「あなた、頭が痛いの?」といった英文を生産する場合では、まずこの日本文を「あなたは頭痛を持っているのか?」ととらえ直して、主語の「あなた」はyou、「頭痛を」はa headache、「持つ」はhave、さらに疑問文だからDoを文頭において、Do you have a headache?という手続きを経て英文を生産することになる。
以上は今まで学習してきて私たちの言語脳に蓄積してきた英語に関する単語情報と文法的な情報をシナプスが取り持ちしていると考えられる。

以上の処理はいずれも日本語と英語の単語が一対一に対応しているものとして、それをシナプスが取り持ち、なおかつ文法に従って単語を並べる作業と言えるだろう。

You are free. →Are you free?
S V C   〜ですか? あなたは 暇
You have a headache. → Do you have a headache?
S  V   O     ですか?あなたは 持っている 頭痛を

あるいは、そんな文法的な手続きをまったく経ないで、「あなたは暇なの?」=Are you free?とか、「あなたは頭が痛いの?」=Do you have a headache?とセリフ覚えのように一文丸暗記をしようとする人たちも多い。しかしこれではNice to meet you.やHow are you?などと覚えたとしても、多くの情報を蓄積しなればならず、取り持つシナプスの負担には耐えられないのは当然だ。英文と日本文を一対一に記憶するなど途方もないことなのだ。
いずれにしてもこれらは日本語の発想から処理しようとするものでおよそ英語脳とはほど遠いものだ。

●ネイティブの人たちの英語脳
一方、ネイティブの人たちの英語脳というものはどのようなものか。まず「あなた、暇なの?」という表現では、「暇な状態」を表すfreeと、「あなた、頭が痛いの?」といった表現では、have a headacheを頭に思い浮かべる。いずれも彼らにとって「記憶の束」に蓄積されたfreeとhave a headacheがシナプスによって取り持たれると言える。だからそのまま相手にFree?とかHave a headache?などと上げ調子で聞くこともある。
ここで何より私たちの英語脳?とは異なっているのは、freeが形容詞だとか、haveが動詞でa headacheがその目的語だという意識はないということだ。彼らは「猫」がa cat、「犬」がa dogと頭にイメージするのと同じようにそれらを映像のようにイメージする。

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