(PART-1) 英語は英語の発想でとらえなければならない
(1) 英語の発想でとらえるということ
●どうしてput offが「延期する」などの意味になるのか
T: さて、put offと言えば、どんな意味を思い浮かべますか?
S: 「延期する」「消す」「止める」、私が覚えているのはこんなものです。
T: でも、putの意味は「置く」、offを「から」などと覚えているんだろう。その意味から、どうして「延期する」「消す」「止める」などの意味になるか考えてみたことがありますか。
S: でもこれらは熟語だから、そのまま覚えるしか仕方がないと思うんですけど。学校時代にもそう習いました。
T: たいていの人は熟語、つまりtwo-word verbsというものは、それらしき日本語訳を結びつけて丸暗記することだと考えてるんだね。でもそんな学習では、暗記しては忘れ、忘れては覚えるといった無限暗記地獄に陥る。大切なことは、英語の発想でとらえることなんだ。
●英語の発想でとらえるということ
T: 日本語の意味では「延期する」「消す」「止める」となるが、英語ではputとoffだけが使われているだけだ。このputとoffの意味をきちんと整理しておかないと、いくら「延期する」「消す」「止める」と覚えてもいつまでもその本質は理解できないよ。
S: 確かにそうですね。日本語の意味はまったく違うものね。
T: 英語の発想では、putは「あらしめる」、またoffは「急速離脱・中断」の意味を持っている。このことをしっかりと確認してください。
S: 「あらしめる」というのはどんな意味ですか?
T: そうね。若い人にはすでに使われていないことばかもしれないね。ぼくがある大学でTOEIC試験の講座を受け持っていた時も、よく同じ質問を受けたよ。そう、ここでは「ある状態にさせる」とでも考えてください。
つまりput offの本質的な意味は、「ある対象を急速離脱・中断の状態にする」ということなんだ。そのある対象を「会議」とすれば、それは「延期する」、あるいはその対象が、「火」とすると「消す」、あるいはその対象が「ガス」とすると「止める」ということになる。しかし重要なことはこれは日本語の発想からの訳語に過ぎないことだ。次の例を見てください。これらは本書にあげられた例文だ。P173参照
(1) Let us put off our meeting till
he comes back.
私たちの会合は延期しましょう/彼が帰ってくるまで
(2) Don't forget to
put the lights off.
明かりを消すのを忘れてはいけないよ
(3) Please put me
off at the next stop!
次の停留所で降ろしてください!
(4) Anxiety put him
off.
彼は不安で(仕事などに)身が入らなかった
(5) The smell put
me off.
私はそのにおいにうんざりだった
(6) The accident
put him off drinking.
その事故が原因で彼は酒を飲まなくなった
T: どれもが、「ある対象を急速離脱・中断の状態にあらしめる」となっていることがわかりますか。
(1) 「会議を急速離脱・中断の状態にあらしめる」
(2) 「明かりを急速離脱・中断の状態にあらしめる」
(3) 「私(me)を急速離脱・中断の状態にあらしめる」
(4) 「彼(him)を急速離脱・中断の状態にあらしめる」
(5) 「私(me)を急速離脱・中断の状態にあらしめる」
(6) 「彼(him)を急速離脱・中断の状態にあらしめる」
T:「英語は英語の発想でとらえなければならない」というのは実はこのことだ。英語は単にput
offだけでそんな表現を可能にしてしまう発想をもった言語なんだよ。
S: そうか。私たちはputやoffなどに安易な訳語を当てはめて覚えてしまったこと、またそれらでできているput
offという熟語はまったくそれらとは別個のことだととらえていることに問題があるんですね。
T: どちらの方法も、実は英語を日本語の発想で処理しているのに過ぎないということだ。
S: put offという熟語が日本語訳では「延期する」「消す」「止める」など、ほとんど関連がつかない意味となっていても、英語の発想では本質的には同じなんですね。
T: そうなんだ。それがとても大切なことなんだ。たとえ丸暗記してもそれだけのことで、英文を読解する場合には少しは役にたつかもしれないが、speakingやliteningの場面ではほとんど役だたないと思うよ。