letの動詞フレーズ
【解説】

letは一般に「させる」と覚えている人が多いと思います。ところが同じ「させる」ということでも、haveやmakeにもそんな意味があります。
まず次のそれぞれ三つの動詞を使った英文の意味を比較し、letの意味を自分のものにしてください。

   (a) I'll
let her do it.
   (b) I'll
make her do it.
   (c) I'll
have her do it.

まずletを使った(a)の文ですが、これは「彼女にそれをさせてやろう」と、彼女がそれをしたがっていることが前提になっており、それを許すといった意味となります。
また(b)ですが、このmakeを使った文は、やはり「彼女にそれをさせてやろう」ということですが、彼女がいやがっているのを無理矢理、強制してやらせるという意味となります。
最後の(c)ですが、このhaveを使った文は、彼女がそれをしたがっているかどうかを問題にせずに、「彼女にそれをさせてやろう」ということになり、ある意味で「してもらう」ということにもなります。
The Beatlesの曲に、Let it be.というのがありますが、これを次のように理解するとletのroot senseがおわかりになると思います。

   
Let it be.
   思い通りにさせる それが(ものごとが) 存在する

確か、この曲の日本語訳は「なすがままに」となっていたと思います。

■letは「許す」と覚えよう

letを正しく用いるのに一番さまたげになっていることは、この語を「せしめる」と訳して覚えていることです。「させてやる」ならば、まだいいでしょう。訳語をつけて覚えたいなら、いっそのこと「許す」としておくのがいいと思います。letは、そくばくを解いて、放してやることなのです。
あなたが、鉛筆を持って立っているとします。この時あなたの手から鉛筆を放したらどうでしょうか。鉛筆は地球の引力に従って落ちます。すなわちあなたは鉛筆をletしたのです。

   You
let the pencil.

しかしこれだけではあまり明らかでないので、ふつうその後に動きや方向を表す語をつけます。これが英語の発想です。

   You
let the pencil go down.
   あなたは鉛筆を落とした

つまりこれはあなたが、鉛筆が落下するのを「許してやった」ということです。

このgo downの変わりに、形容詞が来たり、方位副詞が来たり、あるいは前置詞で始まる語群がきたりします。

   Don't
let the dog free.
   イヌを放してはいけません

イヌは、もちろん「自由になりたい」のです。

   Please
let me in.
   どうか私を中に入れてください

   Please
let me into your room.
   どうか私をあなたの部屋に入れてください

ただ、上のような表現がメタフォーとして使われる場合に注意してください。

   She did not
let me into the secret.
   彼女は秘密を私に明かさなかった

つまり、「彼女は私が彼女の秘密の中に入ることを許さなかった」ということです。
[2] 5つの動詞フレーズの使い方

(1) 現在形動詞フレーズを使って    let(s) the dog free
動詞の現在形で始まるフレーズを現在形動詞フレーズ言い、主語に応じてlet, letsを使います。
この場合の意味は、現在の事実や習慣を表すことになります。

   I
let the dog free every day.
   私は毎日、イヌを放してやります

   You
let the dog free every day.
   あなたは毎日、イヌを放してやりますね

   He[She]
lets the dog free every day.
   彼[女]は毎日、イヌを放してやります
2) 過去形動詞フレーズを使って    let the dog free
動詞の過去形で始まるフレーズを過去形動詞フレーズ言い、letを使います。
この場合の意味は、過去の一時点の事実や習慣を表すことになります。

   I
let the dog free yesterday.
   私は昨日、イヌを放してやりました

   He[She]
let the dog free yesterday.
   彼[女]は昨日、イヌを放してやりました

以上、(1)と(2)は、動詞がそのまま現在形や過去形を表すので、時制を表す動詞フレーズだと言えます。

  (時制を表す動詞フレーズ)
   現在形動詞フレーズ let, letsに導かれるフレーズ)
   過去形動詞フレーズ (letに導かれるフレーズ)

一方、これから登場する動詞フレーズ(3)(4)(5)のもの)は直接「時制」を表しません。
(3) 原形動詞フレーズを使って   (to) let the dog free
原形動詞フレーズとは、「動詞の原形で始まるフレーズ」であることを確認してください。
Let the dog free!「イヌを放してやりなさい!」と誰かに言われたら、英語を知っている人はその通りにします。そんな「ひとまとまりの行為」を相手に求められたことになります。この場合、let the dog freeは命令形として使われたことになります。
一方、次のように相手に求められた場合はどうでしょうか。

   Will you
let the dog free?
   あなたはイヌを放してやりますか?

   You have to
let the dog free.
   あなたはイヌを放してやらなければなりません

以上、letという動詞の原形で始まるフレーズを、原形動詞フレーズと言い、これを使う場合は、現在そうであるとか、過去にそうであったということではなく、抽象的な、あるいは「絵に描かれたような」行為を表すことに注目しください。
この原形動詞フレーズを伴う場合は、情緒動詞で導かれる場合やtoが動詞フレーズを導く場合などに使われます。
また、ここで注意していただきたいのは、情緒動詞のwillとshallです。これらを使う場合を未来形と言われます。ただ、「未来」の意味を表すと言っても、他の情緒動詞も、あるいは「到達点」を表すto+原形動詞フレーズ(不定詞のこと)もある意味で「未来の意味」を含んでいるとも言えることはもちろんです。例えば、このことは「〜するべきだ」「〜するかもしれない」「〜しなきゃ」といった意味からも理解していただけると思います。
*情緒動詞とは、will, would, shall, should, may, might, must, can, couldなど教育文法でいうところに助動詞のことです。
*また「toが動詞フレーズを導く場合」というのは、教育文法でいうtoが不定詞を導くという場合のことです。

   You should
let the dog free.
   あなたはイヌを放してやるべきです

   I will
let the dog free.
   私はイヌを放してやるつもりです

*toは「到達」を意味する方位語(前置詞)です。
(4) 〜ing形動詞フレーズを使って    letting the dog free
動詞letの〜ing形はlettingです。このlettingで始まるフレーズを〜ing形動詞フレーズと言います。この場合の意味は、「〜しながら」といった継続的な行為・状態を表します。
またこれがbe動詞と結びつき、この「〜しながらの存在」との意味になる場合、進行形と言い、文の時制は前のbe動詞の時制によって決定されます。

   I am
letting the dog free.    現在進行形
   私は(今)イヌを放してやっているところです

   I was
letting the dog free.   過去進行形
   私は(その時)イヌを放してやっているところでした

一方、「〜しながらのこと」と訳す場合は、名詞的な意味となり、下の例文のように動詞の目的語になったり、前置詞の目的語(フレーズ)として使われます。

   I hate
letting the dog free.
   私はイヌを放してやるのはいやだ
(5) 〜ed形動詞フレーズを使って    let the dog free
動詞letの〜ed形はletです。このletで始まるフレーズを〜ed形動詞フレーズと言います。この場合の意味は、「〜をしたこと」といった過去の行為・状態を表します。
この場合have,hasを使ったものを現在完了形、hadを使ったものを過去完了形と言います。この場合、haveは「有する」、hadは「有した」という意味で、それぞれの時制において、「過去のこと」を「有する」「有した」という意味となります。

  (現在完了形)
    I have just
let the dog free.
    私はちょうどイヌを放してやったところです
    He[She] has just
let the dog free.
    彼[女]はちょうどイヌを放してやったところです

*(過去において)「ここにいたことを(現在において)有する」という意味。

  (過去完了形)
    I had just
let the dog free.
    私は(あの時)ちょうどイヌを放してやったところでした

    He[She] had just
let the dog free.
    彼[女]は(あの時)ちょうどイヌを放してやったところです

(過去において)「ここにいたことを(過去において)有した」という意味。
この場合の過去を「大過去」という人もいる。
  letの動詞変化

現在形

過去形

原形

〜ing形

〜ed形

let(s)

let

(to) let

letting

let