Coffee Room
  11. 英語を切りきざまないで!

中嶋: Kenny,以前あなたは、「日本人はふつう、学校で何年英語を学んでいるんだ」とぼくに聞いたことがあるね。
Kenny: そう、中嶋さんが「だいたい6年だ、あるいは大学に行くと10年になる人もいる」と聞いたとき、思わず絶句したことを今でも覚えてるよ。
中嶋: 日本人の英語ベタ、あのTOEIC試験で平均点がアジア32カ国中31位という無惨なものだよ。その最も大きな原因は、「英語の先生がるから日本人は英語が話せない」とぼくは考えている。このことはぼくだけではなく、大前研一氏もその著書で述べている。英語の先生が、英語を話せるようになるための障壁となっているわけだ。
Kenny: しかし、「話せない」だけじゃなく、31位という成績は、英語の先生が誇る読解や文法もダメだということだよ。実際、試験の結果を見てみるとリスニングの方がいい点をとっている。
中嶋: 英会話の先生も、英会話の文法書などを見ても、「5文型は基礎だ」とか「中学の文法くらいは身につけなさい」などと気楽にアドバイスしたり、書いたりしているが、本当にそうだろうか。この日本の英語教育には致命的な問題があるということを、彼らはわかっていないと思うよ。
Kenny: 具体的に説明してください。英語の先生が英語を話せない、といったことですか?
中嶋:そうではないよ。英語をすらすら話せなくても英語の発想は教えることができる。むしろ日本語できちんと教えるべきだ。私は日本語をまったく話せない英語教師よりもいいと思っている。よくネイティブに教えてもらいさえすれば、英語か話せると思い込んでいる人は多いが、これはそんな簡単なものではないよ。
具体的に説明しよう。問題は、日本の英語教育では、ただただ読解のために「ひとまとまりの行為や状態」を切りきざんで教えていることだよ。たとえば、日本の英語教育や英会話の本では,次のように教えている。

(1) Drink milk!
  V   O
ミルクを飲みなさい
(2) I + drink + milk.
  S  V   O
(ふだん)飲む ミルクを
(3) I + don't drink + milk.
  S  V      O
飲まなかった ミルクを
(4) I + will drink + milk.
  S  V     O
飲むつもりだ ミルクを
(5) I + will be able to drink + milk.
  S    V        O
飲むことができるだろう ミルクを
(6) I + don't have to drink + milk.
  S   V        O
飲む必要はない ミルクを
(7) I + am drinking + milk.
  S   V      O
飲んでいる ミルクを
(8) I + have just drunk + milk.
  S   V       O
ちょうど飲んだところだ ミルクを
※ S=主語、V=動詞、 O=目的語

Kenny: まさしく、「ひとまとまりの行為や状態」が切り刻まれてしまっているね。ぼくたちネイティブは、drink milk、drinking milk, drunk milkだけで、その自体のイメージを持って話してるのにね。このような教え方では、いつまでも英語が言葉として身につかないわけだよ。
中嶋: こういう教え方になっているのは、読解のためだよ。読解のための英語教育からいまだに抜け出せないのが現実なんだ。彼らの頭では、5文型理論は「絶対に崩せない」ことなんだ。つまり(2)の基本文がSVOだから、これがどんな形になっても、SVOを維持するわけだよ。でもこれは読解のためにはとても便利なもので、まずSを訳し(私は)、Oを訳し(ミルクを)、そしてVの部分を「飲まない」「飲むつもりだ」「飲むことができるだろう」「飲む必要はない」「飲んでいる」「飲んだところだ」と訳すと日本語訳ができあがことになる。これが「後戻り訳」というものだ。
確かに、これは便利なものだが、こんな教え方では「助動詞は原形の動詞をとる」とか、「進行形はbe動詞+現在分詞」とか、「現在完了形はhave+過去分詞」などとしかとらえることができないことだよ。そんな無機的な学習が英語の学習だと勘違いしている。逆に言えば、話せなくてもこれらの文法さえ覚えていたら、英語のテストでは確実に点数がとれるということだ。実は、英語が話せない英語教師の問題というのはここにあると思うよ。
Kenny:問題は、英語教師が自分が勝ち抜いてきた受験の成果でしか英語を教えていないということだね。
中嶋: だからいつまでも英語教育は進化しないいうわけだよ。英文のしくみをファンクションフレーズと動詞フレーズの結びつきだとするファンクションメソッドでは、英語のしくみはとてもシンプルなものになるよ。

(1) Drink milk!
(2) I drink milk.
(3) I don't drink milk.
(4) I will drink milk.
(5) I will be able to drink milk.
(6) I don't have to drink milk.
(7) I am drinking milk.
(8) I have just drunk milk.

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