CHAPTER 0 動詞フレーズを使いこなす

単に動詞の変化だけで生きた英語が見えてこない

英語のとらえ方において、私たちとネイティブとで最も異なっているのは動詞の位置づけだ。私たちは、英文をとらえるときにはいつも、単に動詞の変化だけに注目することを教えられてきたし、英語のテストでもそれが試された。

問題例 次の( )内から適語を選択しなさい。
  (1) I ( drink, drinks, drinking ) milk every day.
  (2) I ( am, are, was, were ) milk then.
  (3) She ( drank, drunk, drinking ) milk yesterday.
  (4) She ( have, has, had ) drunk milk already.
  (5) Did she( drinks, drink, drank )?

私たちは、「自分が毎日ミルクを飲む」とか、「今飲んでいる」といった実感もないままこのような問題を解き、英語学習を続けてきたのだ。わが国の英語教育がいかに文法に偏重し、生きた英語の姿を教えてこなかったかわかる。
一方、ネイティブの発想では、動詞を含めた「ひとまとまりの意味を持つ動詞フレーズ」の変化としてとらえている。

(1) I drink milk every day.
(2) I was drinking milk then.
(3) She drank milk yesterday.
(4) She has drunk milk already.
(5) Did she drink milk?

動詞フレーズは変化はたった5つ !

動詞フレーズは、動詞の変化に応じて、基本的に5つのタイプに展開する。

(時制動詞フレーズ)
(1) drink(s) milk
(2) drank milk
現在形動詞フレーズ
過去形動詞フレーズ
(非時制動詞フレーズ)
(3) drink milk 原形動詞フレーズ
(4) drinking milk ing形動詞フレーズ
(5) drunk milk ed形動詞フレーズ

(1)と(2)の動詞フレーズはそれぞれ現在形と過去形という文の時制を表す。ただし、用いられるのはそれぞれの肯定形だけである。
(1)の現在形動詞フレーズは,現在の事実や習慣を表すので、drink(s) milkは、単に「ミルクを飲む」という事実を表したり、「ふだんミルクを飲む」と習慣を表すことになる。
(2)の過去形動詞フレーズは、過去の一時点の事実を表し、drank milkは「(過去の一時点にミルクを飲んだ」ということになる。

非時制動詞フレーズをどう使うかが問題だ!

一方、(3)〜(5)の動詞フレーズは、文の時制とは無関係に、それぞれが名詞的、形容詞的、副詞的に使われる。したがって私はこれらの動詞フレーズを非時制動詞フレーズと名づけている。
教育文法に詳しい読者には、これら3つのタイプのものを「これは不定詞だ」「現在分詞だ」「動名詞だ」「過去分詞だ」などと説明できる人もおられると思う。しかしそんな文法的な説明よりも、大切なのはその意味や使い方ではないだろうか。
たいていのネイティブは、よほど文法に興味を持っていなければこんな文法用語はしらない。それでも彼らは英語を話している。私たちも同じように、「飲まない」は動詞「飲む」の未然形で、これはマ行五段活用の動詞だなどとはわからなくても,日本語を話している。
以下、CHAPTERを4つに分けて、5つの動詞フレーズの様々な働きを述べることにする。

CHAPTER1 原形動詞フレーズを使いこなす
ネイティブは助動詞や不定詞をどうとらえているか?
CHAPTER2 ing形動詞フレーズを使いこなす
ネイティブは進行形や動名詞をどうとらえているか?
CHAPTER3 ed形動詞フレーズを使いこなす
ネイティブは受身形や完了形をどうとらえているか?
CHAPTER4 現在形・過去形動詞フレーズを使いこなす
ネイティブは現在形や過去形をどうとらえているか?

非時制動詞フレーズを使いこなそう

 以下において、それぞれの動詞フレーズの働きを述べていくが、ここにおいても今まで述べてきたVO感覚、あるいはVC感覚、VOC感覚といった基本的なしくみは何ら異ならない。このことについて、あらかじめ整理しておきたい。
 その前に、もう一度指摘しておきたいのは、言葉というものはフレーズ、つまり「ひとまとまりの意味ある単位」で成り立っているということだ。つまり動詞というものはほとんど単独で意味を表すことはなく、目的語や補語をともなって「ひとまとまりのもの」としてとらえる必要がある。この視点が今までの英語教育に欠けていたのだ。
だから、いつまでも英語が言葉として定着・蓄積できないというこになる。

[1] 3つの動詞フレーズがVO感覚で使われる場合
 動詞フレーズが ひとまとまりのものとして目的語 (O)になっている。
  (基本形)
  I want milk.  私はミルクが欲しい
(1) I want to drink milk.
  私は欲する (これから)ミルクを飲むことを
  → 私はミルクを飲みたい
*to不定詞の名詞的用法
(2) I forgot drinking milk.
  私は忘れた ミルクを飲むことを
  → 私はミルクを飲み忘れた
*動名詞
(3) I have drunk milk.
  私は持っている (過去に)ミルクを飲んだことを
  → 私は(もう)ミルクを飲んでしまった
*完了形

[2] 3つの動詞フレーズがVC感覚で使われる場合
 動詞フレーズが ひとまとまりのものとして補語 (C)になっている。
  (基本形)
  I am happy.  私は幸せです
(1) I am (going) to drink milk.
  私は〜な存在だ (これから)ミルクを飲む
  → 私はミルクを飲むつもりだ
*be to 不定詞の構文
(2) I am drinking milk.
  私は〜な存在だ ミルクを飲みながら
  → 私は(今)ミルクを飲んでいる
*進行形
(3) The milk is drunk by me.
  そのミルクは存在する 私に飲まれて
  → そのミルクは(ふだん)私に飲まれる
*受身形

[3] 3つの動詞フレーズがVOC感覚で使われる場合
 Oは目的語を表し、補語 (C)がそれを補って説明するしくみを持ったパターンを持つものだ。
  (基本形)
  Make me happy.  私を幸せにしてよ
(1) I want you to drink milk.
  私はあなたに欲する (これから)ミルクを飲むことを
  → 私はあなたにミルクを飲んでもらいたい
  Cf. Let me drink milk.
  私にミルクを飲ませてよ
*want+人+to不定詞


*使役構文
(2) I saw you drinking milk.
  私はあなたを見た (あなたが)ミルクを飲んでいるのを
  → 私はあなたがミルクを飲んでいるのを見た
*知覚構文
(3) I had [got] the milk drunk.
  私はそのミルクを持った 飲まれていた
  → 私はミルクを飲まれました
*被害・受益d構文

ここで確認してほしいのは、VOC感覚の動詞フレーズには VC感覚の動詞フレーズが隠れていることだ。つまり(1)には命令形が、(2)には進行形が、そして(3)には受身形が隠れている。つまり、VC感覚のフレーズをきちんと身につけなければ、VOC感覚のフレーズは自由に使いこなせないことがわかると思う。
英語はこんなシンプルで合理的なしくみをしているのに、*印で表した文法用語でそのしくみをバラバラにしてわけが分からない状態にさせているのだ。

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