● ワンフレーズ表現 (1) 方位副詞を使って

またママの話から始めよう。ママは毎朝、幼い子どもに声をかける。

Mom: Kathy, (are you) up?
   キャシー、(あなた)起きてるの?
   Get up! The sun is up.
   起きなさい! お日さまが出てるわよ
Kathy: (I am) up.
    (わたし)起きてるよ

up は、「上の方向へ向かうこと」、つまり「上方」を意味し、ここでは「身を起こす」ということで「起きている」ということになる。これは位置関係の状態を表し、一方で心理的な意味となって元気だ」ということにもなる。気分が「上向き」だということだ。

方位副詞における日本語と英語の発想の違い

日本語の感覚からいえば、「起きている」「元気だ」という言葉から動詞や形容詞をイメージするだろう。しかし英語にはこのような具体的な方位や空間でものごとをとらえ、それを心理的な状態にまで類推する発想がある。これをメタフォー(比喩表現)というが、この英語発想を身につけることなしに、決して英語発想に身をおくことはできない。
ちなみに、up の反意語は down だが、これは「下方」を意味する。ビートルズの曲の題名に I am down.というものがあり、これは「私は下にいる」と具体的な位置関係を表すことも、「私は打ちのめされている」といった心理的な意味にも類推できる。まさに気分が「下向きだ」だということだ。またその主体がコンピュータや機械などの場合は、「故障した」「ダウンした」という意味にもなる。これが英語の発想だ。

Be off. と Be away. の意味の違いがわかりますか?

まず、be が「存在」を意味するということを確認してほしい。そこで off と away という方位副詞が位置関係でどんな状態を表すかで意味の違いがでてくることになる。

(方位副詞の例)
about away back down here there in out
off on over through up etc.

この内、off は本質的に「急速離脱」の意味を持ち、away は「離脱状態」を表す。意味の違いはそれが反映されることになる。ただ、日本語訳ではどちらも「立ち去る」となっているが、日本語の発想だけで英語をとらえようとするのはいかに危険かがわかる。

Be off!
さっさと立ち去れ! (offは「急速離脱」を表す)
Be away!
ここからいなくなれ! (awayは「離脱状態」を表す)

Be off. と Be away. の意味の違いがわかりますか?

重要なのは、方位副詞というものも、それだけで意味が通じることだ。例えば、相手を示して Off!とか Away! と言っただけで通じるものなのだ。そこで英文を丸暗記するよりも、 まずこれらの語の本質的な意味を身につけるべきだ。
例えば、学校などで出席をとる場合、返事は Here !だけで十分通じる。

(I am) here.
(私は)出席しています(ここにいいます)

あるいは、ラグビーの試合などで、違反した選手に審判が Away! と命令する場面を見たことがある。もちろんその選手はフィールド内から「離脱状態」になったことは言うまでもない。また、サッカーなどで試合を行なうグランドを Home と Away に区別していることも知っていると思う。野球などの Out!もまた同じだ。Out は「範囲外」を表し、フィールドの範囲外ということだ。

(You are) out.

be 動詞の表現から一般動詞を使った表現に拡大する

このような方位副詞の発想を元にして、be up (起きている)が get upと一般動詞 get を使うと「起きる」という動作を強調した表現となる。なぜなら単なる「存在」から、get の「そんな状態になる」といった意味になるからだ。

(Be) up !
起きなさい!
Get up !
(Be) down !
(身を)伏せなさい!
Get down !
(Be) away !
立ち去りなさい!
Get away !
(Be) off !
ここからいなくなりなさい!
Get off !
(Be) out !
外に出なさい!
Get out !

さまざまな方位副詞とその本質的な意味

about を「〜について」、on を「上に」, off を「から」などと安易な日本語訳をつけて丸暗記しても、いつまでも英語発想に身をおくことはできない。そこで私は、、次のように「本質的な意味」でそのイメージを身につけるべきだと主張している。最近文法書などでこのような説明が見られるが、私は1987年に出版された拙書においてすでに述べている。

about 「周囲」 around 「円周」
away 「離脱状態」 back 「後退」
down 「下方」 here 「ここに」
there 「そこに」 in 「範囲内」
out 「範囲外」 off 「急速離脱」
on 「密着・継続」 over 「覆う」
through 「貫通」 up 「上方・成し遂げ」

方位副詞にこのような言葉を当てはめたのは、便宜的なものだが、それらをイメージするためにはとても便利だと考えている。「大きな網をかぶせて自分なりのイメージを作り上げる作業」が必要なのだ。
次からの【イメトレ】では、動詞+方位副詞のフレーズをたくさんあげた。特にbe 動詞+方位副詞から一般動詞 (get)+方位副詞の意味の流れを注目してほしい。
もちろん赤色で示したワンフレーズを口に出して読み、次にそのイメージを元にして全文を読んでいただきたい。

※ Coffee Room 6を参照のこと

【Image Training No.17】

【Image Training No.18】

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