| Mom: Hot?
*上げ調子 |
辛い? |
| Kathy: Hot.
|
辛いよ |
| Mom: Vert
hot? *上げ調子 |
とても辛い? |
| Kathy: Vert
hot. |
とても辛いよ |
| Mom: Too
hot? *上げ調子 |
辛すぎる? |
| Kathy: Too
hot. |
辛すぎるよ |
| Mom: Really
hot? *上げ調子 |
本当に辛いの? |
| Kathy: Really
hot. |
本当に辛いよ |
あるいは、ママが「まずい?」と聞くから、「まずいよ」と答える。
| Kathy: Not
very nice. |
あまりおいしくないよ |
| Kathy: Bad-tasting. |
ひどい味だよ |
| Kathy: Nasty. |
まったくひどいものだよ |
日本のママも負けてはいない。やはり「おいしい?」と聞くから幼い子どもは「おいしい」と答え、「おいしくない?」と聞くから、「おいしくない」と答える。これがオウム返しだ。これは幼い子どもが母国語を身につけていくには欠かせないものだ。
もちろん、英語と日本語の単語も語順も異なる。しかしあるフレーズをオウム返しさせることが、言葉の習得のうえでは欠かせないものであることは、いずれのママも無意識に持ち合わせている。
実際、「まんま」としか言えなかったわが子が、「おいしい」と口にしたときのママの喜びはこのうえないものと言えるだろう。
● ワンフレーズ表現を元にして表現が拡大する
彼らは、このようなワンフレーズで言葉を覚え、いつの間にかママが助け舟を出さなくても、自然に次のような表現を身につける。
| Mom: Kathy, how
is it? |
キャシー、味はどう? |
| Kathy: It's very
good. |
とてもおいしいよ |
| Kathy: It's really
good. |
本当においしいよ |
| Kathy: It's not
good. |
おいしくないよ |
| Kathy: It's not
very good. |
あまりおいしくないよ |
もしも、日本人のママが、「おいしい?」と言うのをやめて、毎日Good?などと子どもに言ったらどうだろうか。当然、幼い子どもは「おいしい」と言わずに、Good.と答えるだろう。
あるいは、It's good.とママが言ったら、やはり子どももIt's good.と言う表現を身につけてしまうだろう。親がイヌやネコを「ワンワン」「ニャンニャン」と教えたら、子どもはそれらを見たらそう答えるものだ。
Very good.などのワンフレーズ表現を身につけているから、It'sという主語と動詞がつけ加わったキチンとした表現が自然にできるようになる。これが自然な言葉の習得といえる。
● ママの言葉も過激化する
次の段階では、ママはtasteを用いる。これは一般動詞と言われるものだが、be動詞では表現できない情報豊かな表現をするためには欠かせないものだ。
Mom: Kathy, how
does it taste?
キャシー、味はどう? |
Tastes good?
おいしい味がする? |
Kathy: Tastes
good.
おいしいよ(おいしい味がするよ) |
|
ここでは、子どもはTastes good?と聞かれるからTastes good.とやはりオウム返しをすることになる。
あるいは、「おいしそうに見える?」「おいそうだと思う?」「おいしそうな匂いがする?」というのもまったく同じ感覚なのだ。
ただlookは視覚上、seemは主観的な推測、またsmellは臭覚的なことだ。
| (Mom) |
(Kathy) |
| Looks
good? 上げ調子 |
Looks
good. |
| Seems
good? 上げ調子 |
Seems
good. |
| Smells
good? 上げ調子 |
Smells
good. |
このネイティブのママに、英語の先生のように「この文はSVCの文型だ」という意識はもちろんない。単に「おいしいの?」から「おいしい味がする?」と言葉が拡張しただけなのだ。
一方子どもも、文法の意識はまったく感じないで、単にGood.という単純な表現がTastes good.に代わったにすぎない。ここでも、日本のママが子どもにTastes
good?と言い続けたら、彼もTastes good.と答えるだろう。
● イメトレ初体験
さっそくイメトレ(イメージトレーニング)に移ろう。【イメトレNo.1】にあげたbe動詞フレーズで、ワンフレーズ表現が完成文に展開する英語の発想を追体験していただきたい。
ここでは、まずvery niceなどのワンフレーズ(※赤文字部分)を口に出して表現し、それができてからThis cake
isなど主語とbe動詞をつけて表現していただくことになる。
| Very nice. |
とてもおいしいね |
| ↓ |
|
| This cake is very nice. |
このケーキ、とてもおいしいね |
次に【イメトレNo.2】ではtasteの動詞フレーズをあげた。Very niceという表現がTastes
very nice.に展開することになる。
| (This cake is) Very nice. |
とてもおいしいね |
| ↓ |
|
| (This cake)
Tastes very nice. |
このケーキ、とてもおいしいね |
このような表現を見て、「主語がない」などと思うかもしれないが、ケーキを目の前にした当事者間では、わざわざThis cake
isやThis cakeなどと言う必要はない。「このケーキはおいしいね」とわざわざ言わなくても、話題はそのケーキだとお互いにわかるものだ。これがワンフレーズ表現だ。
ただし、各動詞フレーズは、主語がtastesやtasteに代わることに注意してほしい。次の例では、主語が複数なので、そのままtasteが使われる。
Some wild plants taste
really good.
野生の植物には本当においしい味がするものがある |
また次の例では、doesn'tに続くのは原形のtasteとなる。
This pudding doesn't taste delicious.
このプリンはおいしい味がしません |
● ママはいつも子どもを気づかう
ネイティブの子どもがオウム返しで言葉を覚えていくプロセスをもうひとつあげてみよう。
ママにとって、子どもの気分や健康状態はとても気になるものだ。ママは、いつも子どもに「大丈夫なの?」などと聞く。ここでもまずOkayというワンフレーズで聞き、子どもはそれをオウム返しする。
| Mom: Kathy, okay? |
| Kathy: Okay. |
| Mom: Kathy, are you
okay? |
| Kathy: Yes. I am okay. |
ときにはこんな表現も。ここでも一般動詞feelを使ったfeeling okayのオウム返しであることに注目してほしい。
| Mom: Kathy, are you
feeling okay? |
| Kathy: Yes. I am feeling okay. |
そして、オウム返しから次のような表現に拡大する。
| Mom: Kathy, how
are you feeling? |
| Kathy: I am feeling
okay. |
【イメトレNo.3】は一般動詞feelを使ったフレーズだが、例文が、Are you
all right?などとbe動詞に置き換えることができるのは、先のtasteの動詞フレーズと同じだ。
● ネイティブの子どもはどのようにして表現を拡大するか
下にあげた例文には、pretty, youngなど、誰もが知っている形容詞が使われている。
ネイティブの子どもたちは、これらの単純な表現から自然に言葉を拡大していく。始めはある存在*に対して、事実「可愛い」「若い」と表現していたものがある日突然に、「可愛く見える」「若く見える」といった表現に広がるのだ。
*be動詞は「存在」を表す。
一方、わが国の英語教育では、ここにあげたような形容詞と初めて出会うのはbe動詞と結びついた表現だ。
| You are young. |
You are pretty. |
そして、その次の段階に進むには、教師は「一般動詞で補語をとる表現だ」、つまりSVCの文型だと力むことになる。
You look young.
S + V + C
あなたは若く見える |
You look pretty.
S + V + C
あなたは可愛く見える |
You seem young.
S + V + C
あなたは若そうだ |
You seem pretty.
S + V + C
あなたは可愛く見える |
You stay young.
S + V + C
あなたは若いままだ |
You stay pretty.
S + V + C
あなたは可愛いままだ |
これでは、とても表現を拡大することにはならない。もっと簡単に、相手に向かってLook young.と言えば、それだけで相手には自分が若く見えるんだと喜ぶだろうし、相手に自分のことをLook
young?と上げ調子で聞けば、相手は「それは思い上がりだ」といった表情をするかもしれない。その基礎があって初めて、YouやDo
Iをつけたらいい。言葉というものはそうして拡大していくものだ。